2011年5月21日(土) 血液再検査。
杏樹の瞳は 日に日に輝きを失っていった。
もう、まっすぐ私を見つめてくれることは なくなった。

食事とトイレ以外、ずっと丸くなって 寝ている。
杏樹のグリーンゴールドの瞳は、もうパッチリと開くことはなく
いつも目を細めていた。
ときどき目頭に瞬膜が見られるときは かなり調子が悪い時だと よくわかった。

「 FIP の可能性があります 」
先生から病名を聞かされても 私は「 はぁ…… 」
( FIP? なにそれ ) としか言えなかった。
「助かる確率は 低い病気です」 と言われても ピンと 来なかった。
私は頭の中で 「 確率は低いかもしれないけれど、ゼロじゃない。
つまり助かるかもしれないってことだよね。
だって、現代の医学で 治せない病気なんて ないんでしょ。
薬とか、手術するとか、輸血するとか、
なにか方法があって いつか必ず治るんでしょ。」
そんな風に簡単に考えて 先生の次の言葉を待っていた。
でも先生は なかなか治療方法や 薬の話を 進めない。
先生は 私の顔を見て、現状が理解できていないと、わかったのだろう。
もういちど ゆっくりと 私に 言った。
「 現代の医学では、治療方法がないんです 」
やっと現状を 理解した。
「…え… 杏樹 死んじゃうの…?」
「 死 」という文字が 頭の中に 浮かんだ瞬間
涙が 溢れてきた。
5月22日(日) ブリーダーSさんに送ったメールより

昨日、杏樹の血液検査をしました。
貧血は変化がなく、17%のままでした。
ただ、お薬のおかげか、痙攣は なくなりました。
( 見ていない平日の昼間は、わかりませんが・・・でも、トイレやゴハンの様子を見る限り、朝 「 行ってきます 」から 私が夜 「 ただいま 」を言うまで ずっと眠っているようです。)
全く食べなかった一週間前に比べれば、ほんの少しですが食事もするし。
トイレと食事以外はホント、ずっと寝ています。
貧血なので歩くのもヨタヨタしています。
かわいそうだけど、杏樹はとっても頑張っていると思います o(^-^)o
病院の先生からは
「 一週間経って、特に良くなる訳じゃないけど、%が下がっていない分、
なんとか持ちこたえているということだから、
あまり悲観的に考えなくても いいかもしれないね。
このまま薬を変えながら続けて様子を見ていきましょう 」と言われました。
猫ちゃんが自分のニオイをつける しぐさってありますよね。
嬉しいときとか、スリスリと。
あれが最近は ゼロに近いんです。無理もないけど・・・。
でもね、本当は体が しんどくて 動きたくないとか、
触って欲しくないとか、きっとあるのだろうに
ゴハンを食べ終わって こっちへ歩いてくるとき、
離れたところで心配そうに見ている私の横を スレスレに通り、
「 ああ、今日もスリスリしてくれないんだな 」・・・と、寂しく思っていると、
最後に しっぽを私の体にタッチしてくれる時があるんです。
そんなとき、具合が悪くてフラフラしているのに、まるで私に
「 心配かけてゴメンね。ママのこと忘れていないよ。」 と言ってくれているようで
本当に愛おしくて涙が出ます。
しばらく治療は続けますが、また何かありましたら連絡しますね。
読んで下さって、ありがとうございました。

気を使ってくれるのね。ありがとう、杏樹。

私の好きな うしろ姿。